第46章 新しい任務同行者
(こっちは幸さんがいるから息子さんとは鉢合わせしないはず。それより無一郎くんだ。柱だし大丈夫だとは思うけど…。)
そうして桜が気に掛けている頃、無一郎はまだ明るい街を無表情で歩いていた。
すると前から無一郎に気が付いた隊士四人が駆け寄ってくる。
隊一「時透さん、街を出てどこ行ってたんですか?」
隊二「鬼について何か分かりましたか?」
無「……………。」
無一郎は質問に一切答えず 速度も落とさないまま隊士達の横を通り過ぎた。
その態度は一回や二回のものでは無かったらしく、無一郎が十分離れた後 二人の隊士はため息をつき、一人の隊士は舌打ちをした。
隊二「おい、舌打ちなんてしても変わらないだろ。二人もそうだぞ。切り替えよう。」
そう言う男は唯一 無一郎の言動に何の反応もしなかった隊士であり、無一郎の代わりに他の三人を纏める役割をしてくれている者であった。
その言葉に舌打ちをした隊士が振り返り顔を顰める。
隊一「摂津さんは何とも思わないんですか。鬼を狩れずにいる状況で三晩目になろうとしているのに昨晩合流してから殆ど会話を出来ていないんですよ。…やっぱり何かの間違いで柱になったただの生意気な餓鬼にちが、」
摂「安達、言い過ぎだ。」
厳しい声色に安達と呼ばれた男は眉を顰めたまま口を閉ざし視線を逸らす。
その様子に摂津は少し息をつくと安達の肩に手を乗せた。