第46章 新しい任務同行者
「人がいない所でユ…癒猫様の姿で待つよ。」
無「ゆねこ…?一緒に来たほうが安全だと思うけど。大きな白いネコの姿なら桜はそこら辺の隊士より速いよ。逃げ回るだけなら足手まといにならない。」
「たしかに無一郎くんの周りは安全だろうけど鬼に姿を見せないってお館様と約束してるの。」
無「……付いてきて。」
無一郎はスッと表情を消すと桜の手を引きながら再び街を歩き出した。
(あれ…街外れに行かないのかな…。)
桜が納得してくれなかったのかと思って眉尻を下げていると藤の花の家紋が門戸に描かれた屋敷が見えてくる。
(なるほど…藤の花の家があったから預けに来てくれたんだ…!)
―――
無「この人預かって。男は会わせないように。」
女「はい。畏まりました、霞柱様。」
門から出てきた物静かそうな中年の女性がそう言って頭を深く下げると無一郎は桜に向き直った。
無「大人しくしてて。」
「うん!無一郎くんも気を付けてね!」
そう言うと桜は少し背伸びをして無一郎の頭を撫でる。
すると無一郎は目を大きくさせた後 年相応の笑顔を見せてからくるっと背を向け、タンッと地を蹴るとあっという間に街並みに消えて行った。
(速い…本当に柱なんだな……。)
無一郎が起こした強い風を受けながら桜はぼんやりとそう思った。