第46章 新しい任務同行者
―――
無(思ったより速い。一人にさせない様に気を付けなくても勝手に付いてくる。)
無一郎はそう思いながら一度だけ桜を振り返ったが、その後は何も反応を見せず 一言も喋らなかった。
一方、桜は弟が成長した様な姿をしている無一郎と話したくて仕方なかったが、任務中である事と記憶障害である事から気安く話題を振れず じれったく思っていた。
「……昨晩も同じ鬼なの?素早い鬼なのかな?」
無「被害はそんなに大きくないけど三日連続同じ鬼。まだ見つけられてないから分からない。」
「そっかあ!」
無愛想な返事ではあったが会話できた事が嬉しく、桜は会話内容に不釣り合いな明るい声を出した。
無「………元の姿ってどのくらい足遅いの?」
「鬼殺隊士さんじゃない一般の人くらいだよ。」
無「………。」
(………………あ…会話終わっちゃった。元の姿で足が速いほうが無一郎くんにとって都合が良かったのかなあ…。)
そう思いながら桜は前を行く自身よりも身長の高い少年を追った。