第46章 新しい任務同行者
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「杏寿郎くん。」
杏「どうした。」
「………びっくりした。」
杏「俺も驚いたぞ。君は隙だらけだな。胡蝶がそれを埋めてくれていたようで助かったが。」
「うーーーー……。」
口付けをされてからずっと顔を埋めたまま動かなかった為 桜は杏寿郎に横抱きにされて運ばれていた。
杏寿郎は腕の中で桜が唸るのを聞いて笑い声を上げる。
杏「今のは "お姉ちゃん" らしくないぞ!!」
「……杏寿郎くんは私の弟じゃないもの。」
それを聞くと杏寿郎は柔らかく微笑む。
杏「ああ、そうだな。俺は君の夫だ。」
二人はつい先日、漸く正式に夫婦となっていた。
杏寿郎は父親が溢した涙を思い出しながら桜の赤い耳を見つめて微笑む。
杏「君が煉獄家に現れ、俺を選んでくれて…心から嬉しく思う。」
「…前にも言ったけれど 好きになったのは私が先なんだよ。」
杏「それはずるいと思うぞ。流石に神聖なユキの姿であれば恋慕の情は抱けないだろう。」
「ふふふー。」
杏寿郎の不服そうな声を聞くと桜は無防備に笑いながらやっと顔を上げた。