第46章 新しい任務同行者
「……私だってちょっとはおかしいなって思ったよ。でも命を懸けて鬼を斬ってきた証だと信じたかったから疑わないって決めたのに…。」
その声があまりにも悲しそうだった為 隊士達は青くなって今度は桜に謝ろうと立ち上がった。
しかしすぐに杏寿郎の燃える瞳が近付くことを阻む。
杏「察するに君達は彼女に好意を寄せたのだろう。それがどの様な類の物かは分からないが…、」
「え、杏寿郎く…むっ」
杏寿郎は抱き寄せられて戸惑う桜の後頭部を掴むとわざと周りに見せつける様に口付け、薄く目を開きながらその場の隊士全員を牽制と言うよりも威嚇に近い燃える瞳で睨む。
羞恥の限界を突破した桜が大人しくなったところで杏寿郎は少し口角を上げてからやっと顔を離し、その赤い顔を他の男から隠すように自身の胸に埋めさせた。
杏「桜の側には俺が居る事を忘れない方が良い。では失礼する。胡蝶、すまないが他の者の怪我の処置を頼む!軽傷だろう!!」
し「はい。桜さんが反対しなければ毎晩ベッドを貸す気もありませんでした。治さないことが良い薬になるでしょう。」
「しのぶちゃん…ごめんなさい。」
桜が小さな声でなんとかそう謝るとしのぶは桜の赤い耳を見つめながら眉尻を下げて微笑んだ。
し「……いえ、お人好しな人に振り回されるのには慣れていますから。でもこれからは側にいる事ができません。十二分に気を付けてくださいね。」
「………うん。本当にありがとう。」