第45章 ※心配性と解決法
「何でこんなにほっぺた柔らかいんだろう…。杏寿郎くんって連獅子の獅子さんに似てるよねえ。目がキリッとしてるし、もみあげ長いし…。」
杏「君は歌舞伎が好きなのか!!」
「……びっくりした。数回観た程度だけど素敵だなと思ったよ。」
その答えを聞くと杏寿郎は嬉しそうに桜の手を握る。
杏「そうか!では二人の都合が合う日に是非観に行こう!!」
「うん。杏寿郎くん好きなの?とっても楽しそう。」
桜はそう言いながら輝く杏寿郎の目を嬉しそうに微笑んで覗き込んだ。
杏「うむ!能も好きなのだが最近はそちらも全く行けていないのでいつか行きたいのだが一緒に行ってくれるだろうか!!」
「もちろんだよ。楽しみだなあ。私のいた時代では歌舞伎を見ない人も役者さんを見る機会がたくさんあってね、中でも市川海老蔵さんが有名なんだけど…今の時代にもいらっしゃるのかな。」
杏「残念だが八代目が亡くなられてから海老蔵の名を襲名した役者さんはいらっしゃらないな。」
「そうなんだ…残念。ちなみに私がいた時代の海老蔵さんは十一代目で確かもうすぐ團十郎さんになるんだよ。お子さんも二人いて、男の子の方は新之助の名をそろそろ襲名する予定だったと思う 。もうしたのかな。すーっごく可愛いんだよ。」
杏「そうか…繋がりを感じる話題は良いな。面白くもある。」
「うん、楽しい。なんだか初めてちゃんと話せた気もするよ。」
杏「そうだな…。」
そう言いながら杏寿郎は愛おしそうに桜を見つめ、優しく髪を梳く。