第45章 ※心配性と解決法
「……………うん。」
杏「愛い!!好きな食べ物は何だ!!!」
「…え……えっと、…たまご。」
杏「ざっくりとしているな!愛い!!」
「ま、まってくださ……まって。杏寿郎さん、落ち着いて…!」
その言葉に杏寿郎は一度止まったが、何やら考える様に顎に手を遣ると パッと先程の明るさを取り戻す。
杏「 "杏寿郎さん" という呼び名も余所余所しいな!呼び捨てにしてくれ!!」
「な…そ、それはさすがに出来ませ…できないよ!」
杏「愛い!何故だ!!」
「……だって…婚約者さんだし……そもそも友達のことも呼び捨てにした事がないから…。」
杏「君の言う婚約者という響きはどことなく距離を感じるな。では千寿郎や我妻少年、嘴平少年のように呼んでくれないか。」
「…えっと、……………杏寿郎……くん…?」
それを聞いた杏寿郎は一瞬完全に固まり、その後 何も言葉を発さないまま桜を抱き締めて再び律動を開始した。
「えっ?……あのっ…!!」
杏「名。」
「………な?」
杏「名を呼んでくれ。今夜、出来る限り沢山呼んでくれ。」
「………杏寿郎くん。」
小さく呼ぶと杏寿郎は桜を抱き締め直し、褒める様に頭を撫でる。