第45章 ※心配性と解決法
「…っ!」
杏「……君の時代の結婚に対する価値観について聞いた事がなかったな。父上へ報告に行った時、俺達で勝手に決めた事であったのに君にはそれが非凡であるという意識が無かった。…それに結婚まで何年か交際するとも言っていたな。」
杏「俺が交際を申し込んだ後も『婚姻するとは言っていない』と。……君が居た時代の結婚や恋愛はそれ程までに自由なのか。自由な世で…そこそこされる求愛の数とはどれくらいだ。」
(…数………私があんまりにも断るものだから面白がって告白していたのかもしれないし、どのくらいの数を言えば……数えてないし分からない…。小学生の時のは数えないよね。中学は…中学も数えなくていいのかな。高校はアルプスで吹いたから野球部と…一組の人、二組、三、四、五、六組の人、ニ、三年の先輩…他の部活は…あと大学で………、)
杏「桜。」
杏寿郎は数える様に折る桜の指を見ながら険しい顔をしていた。
杏「指一本で何人だ。」
「…………え…?」
六を表している手を桜は急いで隠す。
杏「先程からまるで団体を数えるかの様に随分ざっくりと纏めながら指を折っているが…十の桁なのではないか。それも何度か繰り上がったな。」
「ま、待ってください!高校の時は本当に…百ほどしかされてなくて…!大学の時は、友達にミスコン……学校内の女生徒の…大会のようなものに出場させられて、何故か辞退もできなくて…それで学校のお祭りの時にその発表があったので学外の人にも見られて面白がられて…それで………、」
そう言い淀む桜を見つめながら杏寿郎は冷や汗を流す。