第8章 覚悟と条件
そして良い笑顔で空を見上げたまま、突然 杏寿郎は大きな声を出した。
杏「桜ッッ!!!!!」
「は、はいっ!!」
桜が驚きながら答えると、杏寿郎はバッと顔だけをこちらに向ける。
杏「先ほどはすまなかった!!!!」
「え、あ………いえ…!」
桜はさっき自分がした子供じみた態度を思い出して顔を熱くし俯いた。
杏寿郎はそれを見るともう一度空に視線を戻し、
杏「褒めたつもりだったのだが、君を怒らせてしまった!!まだ俺と君は出会って間もない!!もっと慎重に接するべきだった!!!」
と相変わらずハキハキと大声で続ける。
「あっあの…!そんな大して怒ってませんし…もう良いので…、」
あまりにも杏寿郎が真っすぐに謝るので、桜は居心地悪くなる。
杏「良くないだろうッ!!!!」
杏寿郎からまさかのお返事がきて、桜は思わずげんなりとした。
(え…まだ粘るの……?)
二人をおろおろと見ていた千寿郎が小さく声を上げる。
千「お、お二人共…、何があったのですか…?」
杏「それが桜は厠でちゃんと用を足せ…」
「わあーっ!!!しー!もう!黙って!!!」
桜は杏寿郎を黙らせようと必死に声を上げた。