第8章 覚悟と条件
(もしかして…煉獄家ってかなり裕福なんじゃ……)
手を洗いながら思う。
(この家だけかもしれないけど、こんなに生活環境が整ってるってことは都心なのかな?そういえばどこなのか全然知らない…。)
そうして千寿郎くんと縁側に落ち着いた後、此処がどこなのかを訊いてみた。
千「東京府の荏原郡、駒澤村ですよ。未来では土地の名が変わってしまっているかもしれませんが…。」
「駒沢…駒沢大学駅の近くなのかな…!世田谷区だー!」
知ってる単語に桜は明るい顔になる。
「ちなみに私は杉並区…ここから北に行った…そうだ!大宮八幡宮………大宮八幡神社…って分かるかな?そこの近くに住んでたんだよ。」
そう言って笑う。
その言葉に千寿郎もぱあっと顔を明るくさせた。
千「分かります!すごい!!時代は違うけど会える距離に住んでたんですね!!」
そう言って盛り上がってると、スッと襖が開く音がしてぽんっと猫の姿になる。
杏寿郎が縁側へ出てきたのだ。
杏寿郎は空を見上げると右腕を上げる。
何しているのか分からず見つめていると、一羽の鴉が飛んできて腕に止まった。
杏寿郎は一度胡座をかき膝の上に鴉を乗せると、持っていた紙を括り付ける。
また立ち上がりながら、"頼むぞ、カナメ" と、小さく言って空に放った。
(静かにしているとすごいギャップがある……。髪の毛…日に当たって綺麗……。横顔も……。)