第43章 弱いこころ
杏「よもや…君はこれも恥ずかしいのか。夏は共に鍛錬を出来そうに無いな。」
「え…脱ぐのですか?」
杏「暑くて邪魔であれば脱ぐぞ。熱が逃れた分、効率良く体を動かせるからな。」
体を拭き終わった手拭いを ぽちゃんと桶に入れると杏寿郎は綺麗な浴衣を身に付ける。
桜はその着付ける流れる様な手付きを見て目を細めた。
杏「…脱ぎ着するところは見たいのか。面白いな。」
「き、着替えを観察する趣味があるわけではありません!ただ、着付ける手が綺麗だなと……。」
杏「そうか!」
杏寿郎は赤くなった桜を宥める様にぽんぽんと撫でると桶を持って部屋を出ていった。
(……子供扱いされた気がする。同い年なんだけどな。弟がいるお姉ちゃんだったし…。)
そう思いながら こてんと布団に横になる。
(竈門くんも長男って言ってたな…。伊之助くんは…、)
そこまで思うと桜は上体を起こして思い返す様に眉を寄せた。
―――『だからそれはお前の夢だっつってんだろーが!!!』