第1章 神様が望んだ関係
「…はい。」
難しそうに眉を寄せながらも桜はしっかりと返事をした。
『ありがとう。』
白猫は少し切なそうに礼を言いながら、すりっと桜の頭に頬擦りをする。
桜が神として見なくなる…それは信仰が途絶えることを意味していた。
まだ幼い桜は目の前の会話に精一杯でそれに気が付けない。
―――癒やす神と、信仰する人の子。
その二人の関係は愛情という絆で結ばれた対等なものとなる。
それは異常な事だ。
ただ単純に信仰が途絶えるのとは訳が違う。
この場合、癒やしの力はどこかへ行ってしまうのか。
留まるのか。――もしそうならそれはどこか。
ユ(それはきっと……私を胸に宿す桜の中に残る。)
白猫はそんな確信に近い思いを抱いていた。
ユ(この子なら正しく使ってくれるだろう…。)