第8章 覚悟と条件
千「……さっき言った、緊張した時猫になるという考えは合っていると思います。それと…、」
「………………。」
千寿郎は勇気を出すように、太ももの上に置いていた拳をぎゅっと握った。
千「……恐らく、思ってる以上にユキさんは桜さんに干渉していると思います。」
千「まず、ユキさんは桜さんを泣かせたくない為、その原因の記憶をたびたび消していると思います…。」
千「それから桜さんがさっき言った通り、緊張した時にユキさんの姿になるのも、ユキさんが守ろうとしているからだと…」
千「そして兄上に例外が多いのは、兄上の事をユキさんが特に警戒してるからだと思います。」
千「…寝た時に人の姿に戻ったのは睡眠が深ければユキさんの力が及ばないからかな…としか……」
千寿郎はそう言い淀むと俯いた。
「……………そっか…。」
桜はさっきの少ない質問で何故千寿郎がそんな考えに至ったのかは分からなかったが、心当たりがあるのか反応はひどく薄かった。
そして、"ユキは自分に対して過保護だったからやりかねない" と、困ったように笑ってすんなり納得した。