第40章 ※ベッドの扱い方
杏寿郎を驚いた様に見つめてから目を伏せ、罰が悪そうに様に眉尻を下げる桜を見て 杏寿郎は少し安心した様に小さく微笑んだ。
杏「うむ、自覚があるようだな。もう鬼を睨んだりしないでくれ。俺にも伝わる程に露骨な嫌悪だったぞ。」
「……はい。」
桜は杏寿郎が一昨日の一件について自由に話せる空気を作ってくれた事に感謝しながら掛け布団を引き寄せた。
そして杏寿郎を隣に来させるとその胸に顔を埋める。
「………………怖かったです…。」
杏「すまない。」
「睨んじゃいましたが頑張って出ていかないように堪えました。」
杏「ああ、竈門少年達も留めてくれたらしいな。よく頑張った。」
「……………………杏寿郎さんを喪う覚悟なんて…、全然、出来ていませんでした。」
桜が思い切った様にそう吐き出すと部屋は無音になった。
ギッとベッドを軋ませながら杏寿郎が動くと桜は暗い色の瞳を杏寿郎へ向けた。
杏「……君がその様な目を表に出すとは驚いたな。」
そう言うと伸ばしかけていた腕を再び動かして桜の背を優しく撫でる。