第40章 ※ベッドの扱い方
杏寿郎はその意味を分かった上で柔らかく微笑むと 頭を撫でながら額に口付けを落とした。
(頷いて、くれない…。ううん、私…何を今更、)
杏「そう努める。」
意志強く、それでいて優しい声にハッとすると 杏寿郎は酷く優しい目で桜を見つめていた。
呆ける桜の頭を再び優しく撫でると 杏寿郎は場の空気が変わった事から頃合いである事を判断し、思い出す様に少し目を細めた。
杏「一昨日の上弦の鬼、猗窩座は変わった鬼だった。人を喰う事より闘う事に固執している様に見えた。」
「…………猗窩座。」
桜が小さく放った不自然な程何の色も無い声に杏寿郎は少し目を大きくさせた。
そして見た事のない険しい目つきをやめさせようと桜の目元に温かい口付けを落とす。
杏「…ああ。やはり強いな。命を懸けて闘っているというのにあちらには余裕があった。楽しまれた。あれより厄介な鬼があと三体。俺達の代でそれ等を狩るのだ。更に気合いを入れなければならないな。」
「…はい。」
杏「お館様が今君を鬼から隠す理由は その時にこそ力を貸して貰いたいからだ。…恐らく討伐終盤、混戦状態になれば君も隠れる余裕はなくなる。柱も君を守る余裕がないだろう。…だが、 "それ" は "その時" の話だ。」
「……………。」