第40章 ※ベッドの扱い方
その感触に桜がビクッと体を揺らすと その反応の良さを見た杏寿郎は欲を我慢する様に眉を顰める。
杏「これは一人で着れても 脱げはしない類の服だ。加えて生地を引っ張ればレースが破けかねん。くすぐったいかもしれないが堪えてくれ。」
「は、はい…お手数おかけします…。」
桜の返事を聞くと杏寿郎は続けて二の腕まで撫でた。
そこまでくれば桜は自身で脱げる為、礼を言って自ら脱ごうと体を起こした。
杏「待て。」
「……………………。」
杏「変えるのも禁止だぞ。」
杏寿郎の視線の先には見た事のない下着があった。
それは前の時代から持ってきた桜の胸の大きさに合った正しい下着であった。
杏「初めて見るぞ。何故今まで隠していた。あの男の仕業でなく君が下着を変えたから胸が見えかけていたのか。」
「こ、こっちが普通の下着なんです…。」
ピアノを弾きに行く際 強気になっていた為、無意識に "普通" の下着へ変えてしまっていたのだ。
(なんてタイミングが悪いの…!)
杏「…確かに下の下着と同じ刺繍が入っているな。服同様、下着の上は二つ持っていたのか。」
杏寿郎の声は静かだったが、その分 感情を読み取りづらかった。
桜の怯えに近い緊張を感じ取った杏寿郎は眉尻を下げて微笑む。