第40章 ※ベッドの扱い方
(ちゃんと…優しい目………。)
「…はい。」
その落ち着いたままの杏寿郎を確認すると桜はすぐに手を退かせる。
嬉しそうにする杏寿郎を見つめながら眉尻を下げて微笑み 杏寿郎の頬に片手を添えると桜は顔を隠した事を謝る様に自ら優しく口付けた。
そして桜にゆっくりと舌を絡められた杏寿郎はビクッと体を揺らした。
その理由は桜の口付けにあった。
杏(また上達しているな。既に漏れた後だと言うのに今 "これ" をさせるとは迂闊だった。)
杏寿郎は止めさせようとしたが、開いた目の先で桜が心底幸せそうにしている様子を見ると再び目を閉じた。
そして "優しく愛する" という絶対に守らなければならない約束と 余裕を失くさせる桜の口付けの間で板挟みになると耐える様に額に青筋を増やしていったのだった。
(杏寿郎さん優しい…朝は敵を見る様な目を見てしまったから嬉しいな…。)
桜は杏寿郎の葛藤に気が付かず、目を閉じながら自身の口付けに優しく応えてくれる杏寿郎を愛しく思った。
しかし、その愛おしい相手の髪を撫でながら『自身と同様に幸せを感じてくれているだろうか』と表情を窺う様に瞼を上げると予想外の姿が目に入りパッと口を離した。