第7章 人形
「飾るだけじゃもったいないか~…?……ぬいぐるみとか久しぶりに触ったかも。はぁ~…癒される~…ん?なんか今…」
誰もいないからと思い切ってぬいぐるみに抱き着く。このぬいぐるみのふわふわ感…たまんないよね。と、思ってたら、何かぬいぐるみが動いたような気が…いや、そんなわけないよね。私疲れてんだきっと、動いたらそれこそホラーだもの。
「ふ~…しっかし本当に器用だなぁ…しかも超かわいいし。フロイド先輩に似すぎて本人みたい…まぁ本人よりは静かだけど。」
「クスクス…」
こらえ笑いみたいのが聞こえて、ん?と思う。さっきからよくわからないけど変な違和感があるんだよな。誰かに見られているような…気持ち悪くなってむくりと体を起こして周りを見る。
「誰かいるの……?」
一旦持っていたフロイド人形をベットに置いて立ち上がる。恐る恐るドアに向かって足を進める。
「そっちじゃねーよ。」
「………はっ??今フロイド先輩の声…?」
ドアノブに伸ばしていた手をぱっ、と離し、改めて部屋を見渡す。しかしどこを見てもフロイドの姿が見えないのだ。あんな高身長で見つからないとか…
「こっちこっちぃ。」
声はするのに姿が見えないほど不気味なことはない。何かに擬態してないと……?擬態…この部屋にはさっきジェイドから、親切で、くれたフロイドによく似た人形がいる。