第7章 人形
~フロイドver~
今日は久々にバイトはお休みで、今からオンボロ寮に戻ってベットインして早々に体を休ませようと今からワクワクしている。そこに自分の身長よりはるかに高い影が前にそびえたった。あん?と思って上を見ると、なんとニコニコと笑みを浮かべているジェイドがいた。
「かなさん、こんにちは。」
「ジェイド先輩…」
「いきなりですが…かなさんは人形などに興味はありますか?」
「人形ですか…?そう、ですね…小さいときはベットの上とかに人形を置いたりしてましたね…」
実は今も置いてるけど。でも今の年齢でも人形を置いてる女の子なんていっぱいいるでしょ。まあ先輩にはちょっと恥ずかしくて言えないけど。
「でしたらちょうどいい。僕から、ささやかですがプレゼントです。」
「………ぬいぐるみ?」
ニコニコとにこやかに渡されたそれは、なんとフロイドに激似の人形だった。特にこの不敵に笑うそのお顔が。とりあえず受け取っちゃったけど、これどこで手に入れたんだろう…
「フロイドにそっくりでしょう?僕が作ったんです。」
「へぇ~………えっ??手作り!?」
驚いて納得してからの二度見をしてしまった。ジェイド先輩の手作り…こんな細かく作れるもんなの??いや、でもこの人自分でキノコ育てたりテラリウム作ったりしてんだもんなぁ…人形作っても不思議ではないか。
「凄いですねぇ…」
「…ふふ、ありがとうございます。ぜひそうやって触っ……可愛がってあげてください。」
「?は~い、ありがとうございます。大切にしますね。」
「そういっていただけるとフロイドも喜びます。」
何故ここでフロイドが出てくるんだ?多少の疑問を持ちながらも、ジェイドと別れる。よし、フロイド人形という思いもよらないものをゲットしてしまったわけだが…大した問題じゃない。それから何事もなくオンボロ寮に着き、フロイド人形を飾るため自室に向かう。