第4章 ポッキーゲーム
~アズールver~
オクタヴィネルの談話室にてアズールと向き合っている。呼び出したのは私からで、今回はポッキーゲームのお誘いで窺ったのだ。
「それで話とは?」
「いやー…大した話じゃないんですけど…ゲームをしようかな、と思いまして。」
「ゲーム…?ボードゲームですか?」
「いや、ボードゲームじゃないです。これを使ってゲームをするんです。」
持ってきているポッキーをアズールに見せる。食べ物に関しては詳しいアズールはポッキーゲームの存在を知っているだろうか。しかし期待した反応とは違い、はぁ、と大きなため息をついて残念そうな顔をして言った。
「…市販のお菓子を使うのですか?食べ物を粗末にするような人ではないと思っていたのに…」
「違います!!とりあえず説明をさせてください!!」
半信半疑で聞いていたアズールが、私の説明でだんだんと納得したような顔になった。というかそもそも失礼じゃない、この人。もともとそういう人だったわ…
「なるほど、理解はしました。しかしこれは僕達がやるようなゲームじゃない気がしますが…明らかに他の意図が感じられます。」
「ま、一回やったら終わりですから。さ、やりましょう。」
「………分かりました、いいでしょう。やるからには勝ちますよ。」
「ぜーーったいアズール先輩は負ける予感しかしないですけどね~。」
負けず嫌いであるアズールが勝利宣言をした。でも突発的な事態に弱いアズールにとって、私と至近距離でポッキーを食べあうのは私よりも恥ずかしくて離してしまうのではないかと予想してしまう。意外と初心で可愛いんだよね。
「いいえ、僕が勝ちますよ。何故ならこのゲームには必勝法があるからです。」
「じゃあ勝って見せてください。」
ドヤ顔で言い切るアズールにポッキー端っこをくわえて向ける。フン、と気合を入れたように鼻を鳴らし何の戸惑いもなく反対側をくわえる。私も勝つ自信しかなかったため、何の戸惑いもなく食べ進め、同じようにアズールも私の様子を見ながら食べ進めていた。どっちも止まる様子はないため、あっという間に至近距離になり鼻が当たろうとしていた。