第4章 ポッキーゲーム
「ま、待ってくれ!!」
「なによ。」
「ぼ、僕もやる。……どうせエースともやるんだろ。だったら先にやりたい。」
「か……っわいいな君。」
「からかうなっ!!!早く、ほらやるんだろ?」
私がどちらも譲れないほど好きなのを知っているから、エースにヤキモチですか。自分はできていないのに、エースとするのが嫌だったのか。デュースは私の手からポッキーの箱をとると、いそいそと開けてチョコの部分にかじりついた。
「じゃあ遠慮なく。」
「っ、ま……はふぁい(早い)!!!」
パク、クッキー部分をかじれば一気に縮まる距離に少しドキドキする。しばらく様子を見ていたが、一向に進む気配が感じられないため食べるスピードを上げれば分かりやすくデュースは焦ってポッキーから口を離した。
「なつき!!」
「はい、デュースの負けね。」
「えっ……」
「デュース、ちゃんとしたルール知らないんでしょ。ポッキーゲームは確かにカップルがやっているようなゲームだからキスすることがゴールって勘違いしちゃうのもしょうがないけど。恥ずかしくなっちゃってポッキーから離しちゃった方が負けっていうのが本来のゲーム。」
だからデュースの負け、っていうとデュースは頭を抱えて蹲ってしまった。それはどういう感情なのか。
「………クソ、」
デュースの目線までしゃがみ、真っ赤にしているデュースにニッコリとまたやろうね、と首を傾ける。無理だ……とそれはすごく小さな声で呟いたデュースに愛おしく思ったのはここだけの話。