第3章 メイド服
~フロイドver~
「ねーーーーーー、小エビちゃーーーーーーん。」
バイト終わり、さて帰ろうと思っていたら後ろからめんどくさい人に絡まれてしまった。ダルーン、と私に後ろからのしかかっていて、いわゆるダル絡みをされている。
「…なんですか、フロイド先輩。」
「なんですかじゃねーよ。何でオレが選んだ服着てくんねぇの?」
さっきからずっとそればかり文句を言っている。お店の売り上げのために、唯一のモストロ・ラウンジの紅一点の私にメイド服を着せて稼ごうというトチ狂った提案を引き受けたのが間違いだった。というかほぼ強制だったんだけどさ…
「いや…だってあれ露出度高いんだもん…脚出てるし、お腹も出てるし…そんなに露出ある服似合わないんですもん。」
「似合うとか似合わねぇとかどーでもいいの。オレが着ろって言ってんじゃん。」
「り、理不尽…」
「だいたいさー、メイド服ってオス誘うための服でしょ?なんでこんな長いスカートはいてんの。」
「ちょ…」
自然にスカートをめくるもんだからちょっと反応が遅れてしまった。ギリギリ見えてないよね…?というか、メイド服ってそもそも何で存在してるんだっけ。駄々をこねるフロイドを若干引きながら眺めて、大きなため息を出す。
「分かりましたよ、着ます。着ますから…」
「ほんと!?んじゃサンゴちゃんから回収してくる!!さっきカニちゃんに見せてんの見てたから!!」
しまった、もう少し後に延ばせばよかった。今なつきもエースにメイド服見せてんのか。これは完全にフロイドが邪魔になってしまうやつじゃないのか。マジ……ごめん。しばらく待ってると、それはそれはいい笑顔で走って帰ってきた…なんかほっぺたが腫れているような…さては#なつきに叩かれたな。