第3章 メイド服
~ジェイドver~
「おや、かなさん……これは、」
アズールの選んだメイド服を脱ごう、と思った矢先に会いたくない人に会ってしまった。いつも通り挨拶をし、私を嘗め回すようにジッと見る。
「ジェイド先輩…ど、どーも。」
「フロイドが選んだ服は着ないのですか?」
「あれはその…露出が高すぎて、私にはハードルが…」
「なるほど…そういった理由ならば仕方がありませんね。貴方の相方は平然と廊下を歩いているというのに……あぁ、とても残念です、しょんぼり。」
「分かりましたよ、着ますよ…もう…」
わざとらしいしょんぼりをするジェイド。こういえば私が折れてくれるだろうと思ってのことだろうか。190センチのしょんぼりはなんだかかわいくて弱いのだ。その通りだよ、クソが。
「…さっさと着て、さっさと脱ご…ほら、着ましたよ。」
「とても似合ってますよ、かなさん。ハードルが高いだなんてご謙遜なさって。ちゃんと着こなしてるじゃないですか。」
「もー、見慣れなさすぎて鳥肌…はい、望み通り着ましたよ。さっさと脱ぎ…ん?」
恥ずかしくてジェイドを見れない。下向いてひたすら自分のスカートを押さえながら言ったら、ジェイドの方から光が放たれた。え、待ってこれフラッシュじゃない?てことは…
「今…写真撮りました?撮りましたよね?え、ちょ、削除要請。」
「いやですねぇ、撮っていませんよ?」
「いや撮った!!パシャって言ったもん!!」
「聞かれていましたか…しかしこの写真はもう僕のものです。消してほしいですか…?僕の要求を承諾してくださったなら考えてもいいですよ。どういたしますか?」
コイツ相変わらずだなぁ、なんてあきらめた顔をして承諾をする。ニッコリ、と笑うその顔が一番怖いんですよ。