第3章 メイド服
布団を私の代わりに持とうとしたラギーの服をグイグイ、と引っ張って阻止する。メイド服を着ているんだからこそお手伝いすることに意味が出るというのに。そうしていると、ラギーは大きなため息をはいた。
「…なつきちゃん。君は女の子なんスよ?」
「?はい、女の子ですけど…」
「ここは男子校なんス。」
「そうですね。」
「うん、じゃあ分かるっスよね?君はここで皿洗い。」
女の子がここに来るのが良くないってことを言いたいのだろうか。でもだったら毎日のようにサバナクローに来ていたので今更だし、まずNRCにいること時点で外に出ることが危険だって言われているようなもんだ。
「ラギー先輩、言ってることが分かりません!!」
「何でっスか!!」
「ラギー先輩、今日は先輩の専属メイドとしてここにきているんです。だから遠慮なんてせずに私に手伝わせてください。」
「じゃあご主人であるオレからの命令っス。君は、ここで、皿洗いをする。」
「………」
なぜそんなに頑なに布団を運ばせたくないのか。一番最初に運んでって言ったのはラギーではないか。よくわからない意地が出てきて、なんとしても布団を運んでやると意気込む。
「かしこまりました、ご主人様。」
「ほっ…」
「……なんていうと思ったか!!」
ラギーが運べないように布団にダイブして妨げる。洗うだけの布団だから上に乗っても怒られないだろう。我ながら幼い行動だな、なんて思ったがしょうがない。ラギーの真意がわからないのだから。ラギーはそんな私を見て困ったように頭をワシワシとかいてため息をつく。
「もーー……なつきちゃん。」
「なんでしょう。」
「アホなんスか?」
「ヒェッ…」
軽々と持ち上げられてしまった。ラギー先輩のお姫様抱っこ……違う、煩悩よ出ていけ。