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2人の監督生

第3章 メイド服


「なんだ、珍しい恰好してるじゃねぇか。」

「色々あったんです…」

「それ着てるってことは、何かお世話するのか?」

「……えっと、まぁ…今日1日は先輩の専属メイドとして働かせていただきます。よろしくお願いします、ご…ご主人様…」

なつきみたいにはっきり恥ずかしげもなく言うのは私には無理だ。だけど正直この格好してお世話をした時のレオナの反応は見たい。

「へぇ…それつけねぇのか。」

「え?あ、これはラギー先輩からいきなり渡されて……つけたくないんですけど…」

「つけてみろよ。」

「えっ。いy…」

「オレの命令を無視すんのか?」

「うっ……」

この意地悪そうなニヤニヤ顔がムカつく。しかしさっき専属メイド宣言をしてしまった身としては、主人であるレオナの言うことは絶対だ。渋々猫耳カチューシャをつける。

「似合うじゃねか。草食動物らしくなったなぁ…」

「ううぅ…っ、何したらいいですかご主人様!!」

「そうだなぁ…散らかった部屋の掃除をしろ。」

「かしこまりました。」

見られることにいたたまれなくなってやけくそにそう叫べば、慣れたように命令を下してきたレオナ。そうだった、この人曲がりなりにも王子様だった。メイドさんとかいっぱいいるんだろうなぁ………本当にメイドとしてしか見てない、とかそんなことはないよな?

「これでよし!!はい、キレーになりましたよ。」

「次はこれだ。」

掃除は得意分野なのでテキパキとこなせば、次の命令が下された。投げられたものをキャッチして見れば、お高そうなブラシだった。ブラッシングをしろ、ということなのだろう。

「相変わらず綺麗な髪の毛だな…」

「毛並みがいいオレの毛を整えられてよかったな。」

「はいはい、ありがとーございます。というか、ポニテとかしたらいいのに…絶対似合いますよ。」

「あ?ヴィルみてぇなこというな。」

「え~?いいじゃないですか、先輩顔いいんだから。」

「うるせぇ、オレはやらねぇぞ。」

「はいはい、分かりましたよ~。ご主人様の仰せのままに…」

ブラッシングをしながら何でもないような会話をする。こうしている時間が一番平和で居心地がいいと思うのはなんでだろうか。
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