第3章 メイド服
~レオナver~
せっかくだからレオナ先輩にも見せてきなよ、と追い出されメイド服のままサバナクローに来た私。せめてここに来るまでは普通の恰好で来させてくれよ…
「お、いらっしゃい。レオナさんっスか?」
「あ、ラギー先輩…そうです……って、何ですか?」
洗濯物を運んでいたラギーに声をかけられた。物珍しいのか、挨拶をもそこそこにジッ、と私の恰好を眺められる。居心地が悪くなりもじもじとしてしまう。
「さっきまでメイド服着たなつきちゃんが来てたんスよねぇ…それに比べると、なんというか、大人しいメイド服っスねぇ…まぁレオナさんならアンタが着るものなら何でもいいんでしょうけど。」
「これでも妥協した方なんですよ…絶対に似合わないって言うよあの人…」
「じゃあもっと似合うように…これあげるっス。」
ボス、と音を立てて渡されたそれは、今世紀最大に要らないもので。ふわふわの、男性受けしそうな猫耳であった。昨日なつきが購買部で見つけた、と嬉しそうに見せてくれたものに似ているな。
「何で持ってるんですか…」
「なつきちゃんが置いてったっス。というか、オレが盗ったんスけどね。」
「相変わらず手癖の悪いハイエナさんだこと。」
「シシシ、誉め言葉っス。じゃあ楽しんで~」
大方なつきが調子に乗ってつけて、ラギーが他の寮生に見られないようにすったんだろう。さすがというか何というか…でもいらない。でもこれなつきが買ってきたものだから、あとで返してあげないといけないから持ってるだけ持ってるか。ラギーと別れてレオナの部屋の前に移動する。いつものようにドアをノックして挨拶をする。しかし応答がない。
「えぇ…いないのかな?レオナ先輩~」
「…あぁ?勝手に入ってこい。」
「あ、なんだいるじゃんか。いるなら応答してくださいよ、も~…」
応答があったため部屋のドアを開ける。いつもそうだけど、この人部屋に入ったらベットに横になる以外の選択肢がないのか。