第8章 〇〇しないと出れない部屋
「顔近かったですよね、ごめんなさい!!」
「ん~?気にしなくていいぜ!夢中になると分かんなくなるよな、分かる分かる!」
ニコニコっと笑っていて安心する。カリムも顔が近くなることがある…なんか想像がつくな。そのままムニムニと頬を触られてむぅ、と声が漏れてしまう。あ、そうだ、カリムのしてほしいことを聞かなくちゃ。
「カリム先輩、してほしいことありますか?」
「ん~~……なつきのところの踊りを教えてくれよ!」
「踊り?ダンスですか?」
「ああ!!」
運動音痴にダンスか…最後に踊ったのはいつだったかな。でもキラキラと期待して待ってるカリムを見ると断るという選択肢はない。私がいたときに流行っていたものでいいなら…と前置きをして拙く踊る。カリムはとても面白そうだ。
「はぁ…、どう、でしたか?」
「ありがとうな!とっても可愛かったぞ!」
「え、かわ…」
そんなに激しい踊りをしたわけではないのに息切れが凄い。可愛かったって、やっぱり少し幼く見えてしまったのだろうか。まあまんざらでもないんだけど。すると、奥でドアが開く音が聞こえた。
「ああ………でも久しぶりに踊ったけど、楽しかったなぁ…」
「分かるぞ!踊ると、どんなことがあっても楽しくなって気持ちが楽になるんだ。」
「カリム先輩……」
カリムの闇の部分が見えて少し焦ってしまった。慌ててカリムの側によって肩をポン、とすると、本人は何だ?というように首をかしげている。
「カリム先輩、ドアが開きましたよ!ジャミル先輩が心配してるんじゃあないですか?」
「あー…いや、どうだろうな……はは、」
「カリム先輩!!そんな顔しちゃダメです!!笑顔笑顔~」
ムニ~、と今度は私がカリムの頬を触る。な、何だ何だ、と少し慌ててたが、私の笑顔につられたのかカリムも笑顔になってくれた。