第8章 〇〇しないと出れない部屋
「かなさん逃げないで、僕に体を預けて下さい。」
「ふ…はは、あはははは、やめっ!!!」
「どうでしょう、涙は出で来るのでは?」
涙の前に声が出てしまう。さすがに先輩の前で大声で笑うなどとはしたないマネはできない。というか、アズールの前、というのがまず嫌だったりする。ニコニコしてくすぐっているコイツにゲラゲラと笑うのは何か嫌なのだ。
「かなさん、もっと声を出した方が楽になりますよ…?」
「恥ずかしいから嫌だっ!!」
「ほらほら、太ももとお腹の連続攻撃はどうですか?」
「う、く…絶対楽しんでるだ、ろっ……」
がちゃん…
好き勝手にくすぐられ、そろそろ声も我慢することがきつくなってきたとき、ドアの鍵が開く音が聞こえた。聞こえたとたん、アズールはくすぐるのを辞めてくれた。
「開きましたね。ミッションクリアのようです。」
「はぁ…よかった。」
「どうぞ。」
床で転がっていた私を起き上がらせてくれた。そして涙が出てた私にハンカチを差し出してくれた。こういうところは紳士なんだよなぁ…
「全く、厄介な部屋に閉じ込められたものですね。でも、とても楽しい時間でした。」
「この野郎…」
どうせ泣いてされるがままの私を動画に収めてて、いつかの日のためにとっておくつもりだろう。この胡散臭いメガネをカチ割ってやりたい。