第8章 〇〇しないと出れない部屋
~ラギーver~
目を覚ましたらなんと見知らぬ部屋で寝ていました、なんて出オチもいいところだ。周りを見渡してみると、すぐ隣にはラギーが転がっていた。転がっていたというのは失礼か…でも他には誰もいないみたいで、密室に二人きりという状況だ。
「これはヤバい…ラギー先輩、ラギー先輩!!起きてください、襲っちゃいますよ!!」
「んん…っ、うるさいっスねぇ…って、なつきちゃん?」
慌ててラギーを起こすと、鬱陶しそうに起き上がった。それを見て少し安心し、お互いに怪我がないことを確認する。
「なんだ…ドアあるじゃないっスか。早いとこ出ましょ。」
「あ、ホントだ…よかっ……」
冷静なラギーにドアがあることを指摘されてすぐさまドアを開けに行く。しかしドアノブを回してもびくともしない。これは…やっぱり閉じ込められてる。
「どうしたんスか。」
「あ、いや………ドアが開かなくて……っ、んっ…!?」
ドアの下に挟み込まれていた紙が目に入ってしまった。これは…例の○○しないと出れない部屋、なのではないか。内容が内容だったもので、驚きのあまりラギーが見えないように隠してしまう。
「なんスか?何かあった…」
「何もないですよ!!」
「……いや怪しすぎるでしょ。とりあえずそこをどくっスよ。」
「いやいやちょっと、やめた方がいいというか……」
「なんスか、はっきり言ってくれないとわかんないんスけど。」
紙の内容はズバリ、キスよりすごいことをしないといけない部屋。さすがにこれはやばいでしょ。いや、私は百歩譲っていいよ、美味しい展開になりそうだとワクワクしてることも否めない。でも正直ラギーが私のことどう思ってるかが分からない。
「…じゃあ聞きますけど、ラギー先輩。好きな子いますか。」
「は?なんなんスか、一体…黙秘で。」
「それじゃ聞いた意味がないじゃないですか~…」
「……んで、なんて書いてあったんスか。」
見られないように体を張ってガードをするが、スリが得意なラギーには通用しなかったようだ。あっという間に私の懐に入り、隠していた紙を盗られてしまう。