第8章 〇〇しないと出れない部屋
「なっ……」
「あ?なんだよ。」
「いや、知ってた!知ってたけどね!!」
シャワー室につくなり服を躊躇いもなく脱ぐレオナに少しドキ、とする。まあ王族だし、誰かしらと一緒に入るなんてこの人は全然気にしないんでしょうけど。そしてさっさとシャワー室へ入っていく。早く来いよ、としっかり言いながら。もう覚悟は決まった、行くしかないと生唾を飲み込み、レオナの後に続く。
「おい、背中を流せ。」
「あー、はいはい、仰せのままに~」
慣れた様子で私に背を向けて待っていた。そういうのは自分ではやらないんでろうな。背中向いてるし、いいやと思いそのまま湯で背中を流す。文句を言わないあたり、これで正解なんだろう。そして自分の体を流し終わった頃、それまで何も言わなかったレオナがとんでもないことを言いだした。
「おい、こっちに来いよ。」
「………っ、冗談は…」
「冗談なわけあるか。」
「ぐっ……」
湯船に漬かっていたレオナが手招きをしたのだ。しかもただ手招きしているだけならともかく、自分の膝の上を叩くものだからもー恥ずかしくて仕方がない。ここで渋っていてもきっとコイツは逃がしてくれないだろう。タオルを巻いているとはいえ恥ずかしさは変わらないけど…言い返したいのを我慢して恐る恐る膝の上へ乗っかる。
「もうちょっと寄れ、狭ぇだろ。」
「だったらわざわざ一緒に入る必要ない…って、勝手に引きよらせるな!!」
「うるせぇ。」
ギュッと後ろから抱きしめられるように寄せられて顔が赤くなる。これは不可抗力だ、仕方がない。居心地が悪くてもぞもぞ、と動いてるのにさらに引き寄せようとしてくるものだから質が悪い。ドアなんてとっくに開いているはずなのに離す気なんてさらさらない。そしていつもの笑みを浮かべながら耳元でこう囁くのだ。
「もっといいことをしてやるよ。」