第8章 〇〇しないと出れない部屋
「はい、どーぞ。」
「……う、意外に筋肉あるのめっちゃ萌えるんだが…」
「そりゃバスケやってんし、デュースと一緒に鍛えてんし?」
「おお……じゃあデュースの方がムキムキなのか…後で見せてもらおう。」
「おい、」
不機嫌そうに口を尖らせるエースにクス、と笑う。やっぱりエースは何かとデュースと比べられるのがいやだし、競ってんだろうな。私としてはどっちも同じくらい好きだから、2人ががそうやって競ってんのを見るのが好きなのだ。
「なぁ、もういいだろ。ドア開いてねぇんだし、次はオレの番。」
「あ、本当だ。」
触るのに夢中でドアのことを忘れていた。エースが私の腕を掴んで止めなければ永遠に胸を触っていたところだった。ドアが開かなかったってことは、私も触らせないとクリアできないわけで…
「んじゃ、エースもどうぞ。あんまないけど…」
「いやいやいや、ちょっと待てって!!」
「え?何?」
「心!!心の準備ってもんがあるだろうが!!」
触りやすいようにブレザーを脱いでベスト姿になると、エースがわーわーと騒ぎ始めた。しまいには真っ赤になり、自分の手で目隠しをし始めたのだ。そんなエースの姿になんだか笑えてくる。ただ女の子の胸触るだけにそんな初心な反応をするなんて…
「エースったら、本当に健全な男子校高生なんだから!!あははははは!!」
「おっまえなぁ!?そんなの照れるに決まってんだろうが!!好きな、ヤツの、触るんだぞ!?他とは勝手が違ぇんだよ!!」
え、と情けない声が出る。いやまあ嫌いじゃないとは思ってたけど、そこまでハッキリと言われると照れる。
「え~?何赤くなってんの?意識しちゃったとか?」
「…エースのバカ、」
目ざとく私の顔が赤くなったのを見つけたエースが、今度はニヤニヤとからかってくる。自分が優位じゃないと生きられない生き物なのかお前は。