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2人の監督生

第7章 人形


~エースver~

「これ、確かに渡したからな。」

「あ、うん…ありがとう?」

授業終わり、デュースから渡されたのはエースに似たぬいぐるみだった。とっても可愛い、可愛いけど何でぬいぐるみを私に?困惑はしたものの、エース人形は欲しかったから素直に受け取る。そしてこれから部活に行ってくる、と言ったデュースを見送ってオンボロ寮に移動する。

「ふ~ん、あのエースがねぇ…」

自分でも上機嫌になっていることが分かる。エースは基本的に人に贈り物なんてするタイプじゃないのに。どういう顔してデュースに頼んだんだろうね。しかしこのぬいぐるみよくできてるな……こんなのここでは売ってないだろうし、自分の手作り?寮服のぬいぐるみなんだけど、胸のバラやトランプまでもが再現されてて凄い。調子に乗って胸のあたりをツンツンしてみる。

「えへへ、エースの胸触っちゃった~……やめよ。虚しいだけだわ。」

ドスン、とベットに寝っ転がる。誰もいないからってこんな変態みたいなことをやって……横になってエースのぬいぐるみを眺める。

「エース君…君の魅力はぬいぐるみじゃあ表せないんだよ。髪の癖ッ毛は本物の方がもっと可愛いし、そのキメ顔的なものは本物のの方が格好いいし……それに、こんな小さいと…抱きしめてくれないじゃん……」

ギュウ、と握ると途端に寂しくなってしまった。そりゃ推しに抱きしめられるほど幸福なことはないよ。だけどあっちからしたら、彼女でもないのに何で抱きしめなくちゃいけないのって感じだよな。エースって割と距離近いからマブの距離感バグっちゃうけど……

「お前、オレのこと好きすぎ。」

「え、あれ?エース……」

やけに近くからリアルにエースの声が聞こえるな~と思ったら、まさかの隣にいたっていうね。いや、いつからいた??本人は面白うにニヤニヤしてますけど……

「おう、なつきが好きなエース君ですよ~」

「え……っと、ぬいぐるみ…?」

「さっすが、理解早すぎ。」

隣にいたはずのエースのぬいぐるみ。そのぬいぐるみが消え去って、本物のエースが現れたとなるともう理解するしかない。そうなってくると話が違ってくる。
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