第7章 人形
「え、待ってやだ……私の独り言全部…」
「うん、聞いちゃった。お前って意外に変態なのな。」
うわあああああああぁ…やってしまった。恥ずかしいのと、いたたまれないのとでここから逃げ出したかった。しかし私が動き出す前に、エースからがっしりと腕を掴まれてて逃げられない。私の動きをよくわかっているようで……
「ぬ、ぬいぐるみだと思ってたし!!いたずら心が……誰にも言わないで……」
「………悪戯ねぇ?じゃあオレも悪戯返ししていい?」
「え、いいけど……何すんの?」
エースは、よいしょっと私の上に移動すると意味ありげに笑う。
「目ぇつぶって。」
エースが言うイタズラは、イタズラの度を越えるくらいドキドキするやつが多い。だから少し身構えてしまうのもしょうがないのだ。とりあえずエースの言う通り目をつぶってみる。
「そのまま動くなよ……?」
バチン!!
「!?痛いっ!!」
「これで許してやるよ。」
思いっきり額にデコピンをされた。ヒリヒリと痛む額を押さえながら蹲る私に、ケラケラと笑うエース。恨めしくエースを見ると、エースは意地悪そうに笑いながら絡んでくる。
「なんだよ?」
「いや……別に、」
何か悔しかった為、小さな声で期待した、と呟けば…エースはさらにニヤニヤと笑う。
「ふぅ~ん、へ~~…」
「……やめてよ。」
「期待しちゃったんだ?」
スス、とそのまま横にずれて私と距離を縮める。私を腕の中に閉じ込めて、こう言った。
「何してほしかったの?……言ってくれたら、ゴホービにしてあげないこともないよ?」