第7章 人形
~レオナver~
「ってことで、レオナさんからぬいぐるみ預かったんで。確かに渡したっスよ~」
廊下ですれ違ったラギーに、いきなりぬいぐるみを押し付けられてしまった。これをどうしろというんだよ…しかも私への贈り物だったんなら、本人が直接渡しに来てくれればいいのに。相変わらず忙しそうなラギーを見送ってオンボロ寮に戻る。
「さて…このぬいぐるみ、本当にそっくりだな。」
よっこいしょ、とベットに座ってぬいぐるみを眺める。髪の毛や尻尾の質までいい気がしてならない。ぬいぐるみで…ってなるかもしれないが、あの王子様のことだ。きっとかけんでもいいお金をかけたに違いない。
「耳…ケモミミ…もふもふ…あぁ、いいっ!!普段触れないもんなぁ……」
ケモミミ好きの私は、レオナぬいぐるみを触って幸せである。はたから見たら変な人なのかもしれないが、今は自分の部屋で自分しかいないからいいのだ。思う存分もふもふしていたら、突然どこからか声が聞こえた。
「へぇ…?オレじゃあ足りねぇってことか?」
「え、何か今声が……」
いやいやそんなわけないよね~?こんなところまであのめんどくさがり屋が来るわけないし、そもそもいつもこの時間は寝てるだろうから。全く、幻聴まで聞こえるとか嫌なんですけど…
「はぁ~、空耳だ空耳。」
「空耳だったらよかったなぁ?」
「えっ???」
いつの間にかベットの横に腕くんで座っているレオナがいた。ベットに寝っ転がっていたが、慌てて体を起こしてレオナを見る。このニヤニヤした顔腹立つな~
「ふ、不法侵入だ!!」
「てめぇんとこの寮長が許可出したから合法だ。」
「いや、私の部屋に無断で入ったから不法侵入!!てか、え?何でいるんですか?いつから…?」
「お前と一緒に入った。」
「入れてない入れてない!!」
こんな存在間ある人なんか入れたらすぐ分かるって。私がこの部屋に一緒に入ったのって、レオナに似たあのぬいぐるみくらい…そう、レオナに似た……あ?
「ぬいぐるみですか!?」
ふっ、と笑われたことがもう肯定と捉えられる。そのままレオナは遠慮なくベットへあがってきた。何されるのかと思い、つい咄嗟にファイティングポーズを取ってしまう。しかしレオナはごろっと私の膝の上に寝っ転がった。