第2章 出会い
それまで私が積み上げていた勝利の記憶はすべて塵芥だと感じてしまうくらいその男の強さは圧倒的でやっぱり私は見た目も平凡なら能力も大したことのない駄目なやつだと実感したのだ。
バトルの後、男が話しかけてきた。
「君強いね。楽しかったよ」
なんて、お世辞にしか聞こえない台詞は私を余計惨めにさせ苛立たせた。
私は挨拶もそこそこに終わらせて逃げるようにその場をあとにしたのだ。
男の前から逃げて着いた先は森の中。
私はポケモンたちを出してこのまま逃がしてやろうかと思った。それは今回だけじゃなく意外と頻繁に思うことだ。
この子たちは強い。それは私が保証する。こんな駄目な私でも、この子たちのおかげで勝てていたんだ。
だからこそ、この子たちは私の手を離れた方がもっと高みへといける。そう思えてならない。
私は嫌だ嫌だと泣きならがら、口では「どっか行っちゃえ」なんて突き放す。
「どっか行っちゃえはいい。さっさと新しいご主人見つけてそこでもっと強くなればいい。私なんてどうせ、どうせ……」
そこまで言うとポケモンたちは私の周りに集まった。ぎゅうぎゅうと引っ付いてきて少し苦しい。それはポケモンたちの離れないぞという意志を感じるようで余計泣きたくなった。
「なんでさ……君たちは私のもとじゃない方が強くなれるのにさぁ……」
「ポケモンたちからの愛情は素直に受け取っておくべきだよ、泣き虫ちゃん」
ぐずぐず泣いているところに声がかかった。爽やかで声だけでわかるイケメン具合。この人はさっきの……。
「おっと、そんなに警戒しないでくれ。君たちのトレーナーを傷つけるつもりはないよ」
私がゴシゴシと涙を拭いている間に男はそんなことを言う。どういうことだと周りを見渡せば、さっきまで私を抱き締めていてくれたポケモンたちがとても鋭い視線で男を見ている。
ああ、この子たちに私は守られているんだなぁ、なんて場違いにも思い嬉しくなった。
「改めて、ボクはダイゴ。君に一つお願いがあってここまできたんだ」
「おねがい?」
さっきまで泣いていたことで図らずも舌っ足らずになってしまって恥ずかしい。そんなこと思っている私を横目にダイゴさんは懐から一つのモンスターボールを取り出した。
「これはね、ボクの大切なポケモンが一体入っている。これを君に譲りたいんだ」
「え?」
