第9章 挑戦
「ラグラージ! 耐えろ! お前の強さを見せつけろ! 『私の』ポケモンだろ!!」
ラグラージが力強く吠える。こんなたくましいラグラージは初めて見た。ああ、そうか。私に足りなかったのはこれか。
「いけ! ラグラージ!」
ラグラージの最後の一撃がミロカロスに当たる。そしてミロカロスはそのまま崩れ落ちて、それはつまり。
「ミロカロス戦闘不能! ラグラージの勝ち! よって勝者チャレンジャートオル!」
勝った。やっと勝てた。そのつもりできた。でも本当に勝ったのだ。
「ラグラージ! ありがとう、本当にありがとう!」
ラグラージに駆け寄って思い切り抱きつく。ラグラージを強く抱きしめて頭を撫でる。そこでラグラージも疲れていることを思い出してキズぐすりをかけてからモンスターボールへと戻した。
「さぁ、君を登録しよう」
そうミクリさんに促されて奥へ進む。そこで殿堂入りの登録をすませる。私のトレーナーカードに殿堂入りの文字が。これで私はリーグ所属のトレーナーとなった。ホウエンリーグから公式のポケッターアカウントももらえるらしい。言ってしまえば私は公的な人間になるということで。
別に有名人になりたいわけではなかったけれど、ただのチャレンジャーから殿堂入りを果たしたリーグ所属トレーナーでは世間からの受け取られ方が違う。
私の満足げな表情にミクリさんもニコニコと笑っている。さっき私に負けたというのにすごく大人だ。
「若い子が育つ姿はいいね。でも次は勝つよ。だからまたおいで」
いや、もしかしたら意外と大人げないかもしれない。
「トオル!」
外に出た瞬間抱きつかれた。ダイゴさんに。
「は? なんでダイゴさんがここにいるの?」
「なんとなく、良い予感がして来てみたんだよ! そしたらちょうど、君のバトルを見ることができた! 本当におめでとう!」
ダイゴさんの言葉に胸がいっぱいになる。そう、結局私はあの日以来この人に認めてもらいたくて頑張ってきたのだ。まだこの人には勝てていない。けれど。
「あり、がとう、ございます」
涙があふれてきた。悲しい訳じゃない。嬉しくて嬉しくて、涙が出てきた。私は感情が涙に直結するタイプなんだ。
「はは、君はやっぱり泣き虫ちゃんだね」
そう言って私を抱きしめてくるダイゴさんの腕の中は暖かかった。