第6章 逃避
「……ハルカは?」
「なんでそこでハルカちゃんが出てくるんだい」
「だってダイゴさん、ハルカに優しいしハルカちゃんって呼んでるし最近ずっとハルカと一緒にいるみたい、だし、さっきもすごく怒って……ハルカは、かわいいし……」
「ハルカちゃんに優しいのはあの子がまだ幼いから。それに事件に巻き込んだ負い目もあるしね。最近一緒なのはハルカちゃんがボクとバトルしに来ているからで他意はないよ。あと、さっきのは、君が怪我をさせたと思ったから」
「うん」
「あのあと冷静になってからハルカちゃんに話を聞いたよ。確かに君がいきなりキレたみたいだけれどハルカちゃんのドジでもあるみたいだね。あんなに怒ってすまなかった」
「そんなこと、ない」
「それにハルカちゃんは確かにかわいい子だけれど、君だってそんなに劣等感を感じる必要がないくらいかわいいだろう? むしろ美少女の部類だよ」
「そんなことない!」
「そこも悪い癖だな。変に自分を悪く見せるのもいきすぎた謙遜も駄目なとこだよ」
ダイゴさんは穏やかな声をしている。その声を聞くとなんだかスッと心に入ってくる気がする。
「トオル、そんな不安そうな顔をしないで。大丈夫だから、ほら」
ダイゴさんに腕を引っ張られ立ち上がらされる。勢いがつきすぎてダイゴさんの胸にダイブした。
ダイゴさんはそのまま私を抱きしめる。
「トオル帰ろう。みんな待ってる」
「うん」
私がそううなずくとダイゴさんは私をお姫様だっこのように抱き抱えて歩き出した。
「え、ちょっと!」
「泣き虫ちゃんはすぐ逃げるからね。また逃げ出されると困る」
「逃げないってば!」
「信用ならないね」
そんな軽口を叩きながら病院に帰って行った。
雨はもう、やんでいた。
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