第6章 逃避
「君のポケモンたちはね、君のことが大好きで君のために戦っていたんだ。それを一番理解しなきゃいけない君がそんなんでどうするんだ」
「だって、わたしなんて、だめなにんげんで、」
「駄目じゃない。君は強いし君はすごい子だ。努力家で、ポケモンたちのことを考えて、ホウエンで三番目に強い」
「チャンピオン、倒せたハルカの方が、」
「君だって気づいているだろう? ハルカちゃんはむらがある。純粋に実力だけなら君の方が強い」
「それは」
「はあ、なんで君はそんなに自分を認められないんだ」
「?」
「最初に会ったときからだね。いつも『私なんて』って言う。君が駄目なやつなら人間のほとんどがそれ以下になってしまうよ」
「そんなことない」
「君が言っているのはそういうことさ」
そうなのだろうか。いやでも私が駄目なのは間違いなくて、そんな。
「トオル。君は自分が信じられない?」
「……うん」
「じゃあボクを信じて」
「ダイゴさんを?」
「そうボクを。ボクは君がうつむくたびに教えてあげる。君はすごい子だって」
雨が、少し弱まってきた。ダイゴさんの表情がよくわかる。すごく、優しい顔をしている。
「でもダイゴさんも弱いって思ってるんじゃないの」
「そんなことないよ」
「じゃあなんでハルカはあの事件に関わって、私は関われなかったの?」
「それは……」
「やっぱりそうなんだ」
「違う。それは違う。ハルカちゃんはただ巻き込まれただけだ。あとに引けないくらいに。それだけ」
「でもバトルに参加させないで後ろに下がらせることできなかったの?」
「……ハルカちゃんは確かに強かった。巻き込まれたんだからもうその実力を見込んで手を借りようと思った」
「『子ども』なのに?」
「そこは、大事なとこなのかい?」
「そうじゃん、だってダイゴさんは私が『子ども』だから遠ざけたんでしょ? なのにハルカはもっと子どもなのになんで」
「君に、危ないことをしてほしくなかったんだ」
「え?」
「あの事件は悪の組織が関わっていた。君に協力を頼んで君が怪我でもしたらボクが耐えられなかった。だから拒んだ」
「なんで、そんな」
「……~~っ! 好きだからだよ! ボクは君が好きで! 君を守っていたかったんだ!」
「は、すき?」
「そうだよ……その様子じゃまったく気づいてなかったんだね。……ボクはね、トオルのことが好きなんだ」
