第6章 逃避
目が覚めた。目に映るのは白い天井。目の端にレールとカーテンも見える。
起きあがってみると私はベッドの中にいたらしい。腕には点滴がついているところを見るとあのときミクリさんの目の前で倒れたのか。外は雨が降っていた。
ああ、本当に私は駄目なやつだ。
ナースが来た。私が起きているのを見て嬉しそうだ。そのあとお医者さんも来て軽く診察をする。なんともないそうだ。
お医者さんもナースも帰ったから私はまたベッドに横になってぼおっと天井を見つめる。
最近の私は変だった。それもハルカのせい。いや、それはただの八つ当たりだ。私のせい。
落ち着いて考えたらわかるのだ。わかるけれど……。
いろいろと考えているとコンコンと扉をノックする音が聞こえた。そしてソーッと扉を開いたのは今まさに考えていたハルカだった。
私としてはバッドタイミングだったが、ハルカからすれば私が起きているタイミングで見舞いにこれたのだからグッドタイミングなのだろう。
「トオル!」
私が起きてて嬉しそうな顔をするハルカは本当に良い子だ。それ故に私の汚さが目立つ。平凡なことがギリギリの矜持だったのにこれじゃ性格ブスだな。
「大丈夫? 倒れたって聞いて心配してたの」
「大丈夫だよ。それよりどのくらい寝てたかわかる?」
「えっと、倒れたのは昨日だよ」
「そっか、ありがとう」
昨日ということは、だいたい丸一日くらい寝てたのか。そのくらいで目が覚めてよかった。
胃の気持ち悪さを抑え込んで私はハルカと話す。とは言ってもハルカの話を私が聞いてるような形だ。
ハルカはここ最近の話をしてくれる。ミクリさんたちのところに通い詰めていた私とは逆にダイゴさんのところに通っていたハルカの話はダイゴさんが関わることが多い。
ダイゴさんとのバトルのこと。ダイゴさんからのバトルのアドバイス。ダイゴさんからもらったダンバルの育成論。ダイゴさんの話ばっかだ。
ハルカの話を聞くたびに気持ち悪さが増していく。それでもなんとか笑顔を作って相づちを打つ。
でも、それもある一言で決壊した。
「トオルはいいな。いつでも四天王に勝てるだけ強いもんね」
限界だった。『トオルはいいな』? 『強いもんね』?
「……て」
「え?」
「帰って」
「トオル……?」