第5章 葛藤
今日のバトルで私は強くなったと思えた。ダイゴさんもそれは認めてくれた。勝てるかどうかはまた別だけれど。それでもなんとなく手応えがある。私はいける。
ダイゴさんに明日はミクリさんと戦ってくることを告げてその日は帰った。その後すぐミクリさんからダイゴさんに連絡が来たことは知らずに。
「え……」
もう一度言ってほしい。そんな私の願いが通じたのか受付にいるリーグ職員が再度教えてくれた。
「昨日きたチャレンジャーの方が殿堂入りを果たしたの」
殿堂入り。それはチャンピオンに勝った証。
ここ最近は私だけしか挑戦していなかったはず。それなのにいきなり殿堂入り……?
「あの、トオルちゃん、大丈夫?」
「えっ、ああうん、大丈夫だよ」
衝撃は大きい。それでも私が私のバトルをすればいいことには変わりはない。そう、そのはずだ。
意識を切り替える。私は強い。強くなった。今日はそれを証明する日だ。
「バトルを、お願いします」
ちゃんとミクリさんまで到達できた。悪いバトルでもなかった。そんなにボロボロではない。それでも、やっぱりどこか全力を出せなかった。そんな気がする。
いつもだったらこのあとリーグの食堂で今日の振り替えりと反省会をするけれどそんな気分にはなれない。今日は、早く帰ろう。
ミクリさんにもすぐに帰ることを告げる。「今日はゆっくり休むといい」なんて言ってくれるミクリさんに感謝してそのまま私はリーグをあとにした。
私はそのまま帰るつもりだった。帰るといっても実家ではなくただの宿代わりのポケモンセンターではあるけれど。それでもそこに向かっているつもりだった。
けれど、たどり着いた先は流星の滝。自分でも不思議に思い、私を運んでくれていたフライゴンを見ると「あれ? 違った?」みたいな顔をしてくる。私が無意識に行き先を間違えたのか。
私はフライゴンにお礼を言ってからモンスターボールに戻す。ここまできたんだ。ダイゴさんに会ってこよう。
気分転換のつもりでそう思ったのだ。その判断は間違いだったと、気づくのはもう少し後。