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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第17章 七年


「冨岡さん⋯⋯」

 宇那手は、薄ら目を開けた。もう夜が更けている。師範は自分の傍にいた。

「起きたか。具合はどうだ?」

「問題ありません。明日にはお館様の所へ──」

 宇那手は起き上がり、息を呑んだ。産屋敷本人が、すぐ傍にいたのだ。

「お館様!」

「火憐の実力は、杏寿郎も認めていたよ。⋯⋯私は決断した。君の階級を変更しよう。甲だ」

 長らく宇那手の階級は放って置かれた。その実力ばかりに目が向けられ、丁のまま放置されていたのだ。最早肩書きなど、誰も気にしていなかったから。

「これで、君が柱になる条件は全て揃った。⋯⋯今、話が出来る状態かな? 肺はどうだい?」

「もう、痛みはありません。お恥ずかしながら、鬼が自分の身体を再生する際の様子を観察し、取り入れました。私は人を喰っていないので、あくまで人の領分を超えない程度の力ですが⋯⋯」

「では、君の首に現れた痣について話そう。恐らく火憐には、それほど時間が残されていない。今のまま戦い続ければ、保って七年。どういう条件で現れるのかは分からないが、その痣は、上弦の鬼に対抗し得る力を付けた剣士に現れるものだ。過去に存在した者たちは、それが原因で二十五歳までに命を落としている。⋯⋯その痣は、柱と同じくらい、鬼舞辻に付け狙われる目印になる。今は隠しておくんだ」

「まさか⋯⋯」

 宇那手よりも、冨岡の方が衝撃を受けていた。その様子に気が付き、産屋敷は、宇那手の頭に手を置いた。

「火憐は、それほど動揺していないね。分かっていたのかな?」

「⋯⋯身体の戦闘能力を維持するのに、最も重要な部位は心臓。次に脳です。呼吸を使う事で、鼓動が早まっている事には気が付いていました。それほど長く生きられないと、想定していました。⋯⋯ですが、七年、ですか⋯⋯」

 彼女は胸に手を当てて考えた。

「鬼舞辻を滅する計画は順調でしょうか? もし、私に能力があるのなら、上弦の十二鬼月を可能な限り滅します。あとは柱の皆様にお任せする事になりますが⋯⋯」
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