第103章 繋がる
父は、変わってしまった。
日永一日酒を飲み、家事もしなくなってしまった。父が求めていたのは、母の存在だけだと言っても、過言では無い。
辛いのも、悲しいのも、理解出来た。だけど、私は子供だ。親が必要だ。大人の助け無くして、真っ当に生きることは出来ない。
愛して欲しかった。母の分も。母も、それを望んでいたはずだ。
しかし、私の怒りは、父を通り過ぎるばかりで、何処にも行き着く事は無かった。
辛かった。寂しかった。
けれど、母の一周忌が過ぎ、父は産屋敷邸に呼ばれ、それから生活を改めた。
今度は父がタイプライターの前に鎮座し、動かなくなった。
私は、深夜にこっそり、父の文机を見た。其処には、母の手紙が置かれていた。