第102章 帰還
蝶屋敷に戻ると、宇那手は、カナヲとアオイに詰め寄られ、全身を隈なく調べあげられた。
「全く!! どうして無茶ばかりするんですか!!」
アオイは、宇那手を無理矢理ベッドに追いやり文句を言った。
「丸腰で、銃を持った人に立ち向かうなんて!」
「性分です。自分の命よりも、あの場にいた、全ての人達が大切だった。それだけです。⋯⋯竈門君はどうしていますか?」
「もう、容体も落ち着いていますよ。でも、片腕が使い物にならない状態です。感覚が無い様で⋯⋯」
「悩ましいですね。通常壊死した部位は、切除しなければ、全身に害が出るのですが⋯⋯その様子は無いのですよね?」
「はい。不思議なことに」
「髪の毛や、爪と同じ様な状態になったと考えるべきでしょうか。⋯⋯定期検診は必要ですが、今の所は様子見ですね」
「それよりも、今は貴女が優先です。以前にもお話ししましたよね? 貴女はずっと毒を飲み続けていて、本来あるべき機能を失っていたんです。身体の強化と引き換えに、あって当たり前の機能が、とても弱いんです! 無茶ばかりしていては⋯⋯七年どころか⋯⋯」
アオイは口を噤んで俯いた。瞬間、扉をぶち破ってひょっとこの面を被った男が雪崩れ込んで来た。
「刀!! 刀を見せろ!!」
「鋼鐵塚さ──」
「良いの。お話をするから、席を外して」
宇那手は苦笑しつつ、アオイを退避させた。
「用意してあります。優秀な刀でした。ですが、甲の時代に打って貰った物は、部屋の隅にいる水柱の冨岡義勇が折ってしまいました。現場から回収することも出来ず、申し訳ございません」