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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第100章 ※一夜


「⋯⋯痛いと言えば、止めてくださいますか?」

「勿論」

「私の首に歯を当てて、従わなければ害すると言いませんか?」

「言うはずがない!」

「私が疲れ果てている時に、無理矢理押さえつけて、繋がろうとしませんか?」

「しない!! そんな事はしない!!」

 冨岡の答えを聞き、宇那手はポロポロ涙を溢した。

「義勇さん⋯⋯。私、酷い目に遭ったんです。毎晩毎晩、鬼舞辻無惨の妄執に付き合わされた⋯⋯。気を失う度に、痕が残らない場所を叩かれました。貴方の名前を、何度も何度も囁かれ、私の心を殺そうとして来た。私が貴方を放棄する様に、時折甘い言葉を囁きながら。⋯⋯私⋯⋯私、頭がおかしくなりそうだった!!! 自分が壊れて行くのが分かった⋯⋯。だけど⋯⋯正気を保っていられたのは、貴方が生きていると知っていたから!! 一度、貴方の屋敷の傍まで行く事を許されました。貴方は、私の意図を理解して、前を向いて鍛錬をされていた。心が解れたその瞬間、無限城に連れ戻されて⋯⋯そして⋯⋯そして──」

「火憐! もう──」

「知って欲しい!!」

 宇那手は、傷だらけの左腕を晒した。

「私に、鬼舞辻の毒がそれほど効かなかったのは、決戦以前に、少量投与されていたから!! 私の精神を破壊する為に!! 時折私は分からなくなった!! 鬼舞辻に蹂躙されているのか、貴方に抱かれているのか!! 分からぬまま、受け入れてしまった事もあります!! 今も⋯⋯目の前にいるのが、本当に貴方なのか、確信を持てない⋯⋯。自分は夢の中にいるんじゃないか、と。目を覚ましたら、横にいるのは、あの化け物なんじゃないかと!!」

「⋯⋯⋯⋯俺は、本当に何も分かっていないんだな」

 冨岡は、顔を覆ってしまった。しかし、今宇那手から目を背けてしまえば、二度と向き合えない気がした。

 彼女が、珍しく心を剥き出しにし、助けを求めている。

「⋯⋯お前は、どうして欲しい? 今晩の話だ。眠るのが辛ければ、街へ出よう。自分の布団で寝たければ、そうすれば良い」
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