第100章 ※一夜
「余力?」
「私⋯⋯体力が落ちているので⋯⋯途中で寝てしまわないか、心配で⋯⋯」
「そんな事を心配していたのか」
冨岡は、はっきりと笑みを浮かべた。
「別に眠っても構わないぞ。お前の望み通り、きちんと出してやるから。⋯⋯気をやりそうな程、さっきのは良かったのか?」
「⋯⋯はい。⋯⋯だって⋯⋯貴方だから⋯⋯。変態なのは、私の方です」
宇那手は頬を染めて、冨岡の胸に顔を押し付けた。
「貴方になら、何をされても嫌じゃ無いんです。殺されたって構わないと思っているから⋯⋯どんなに酷い扱いを受けても⋯⋯身体が──」
「やめっ⋯⋯」
冨岡は、慌てて宇那手の身体を抱き寄せて、深く息を吸った。一瞬締め付けが強くなり、早々に出してしまう所だった。
「⋯⋯頼むから、あまり煽らないでくれ」
「我慢しないでください。貴方が苦しむ顔を、これ以上見たくありません」
宇那手は自分で身体を引くと、天井を向いている冨岡の一物を口で咥えた。
「火憐!! やめろ!! 何処で覚えたんだ?!」
冨岡は宇那手の髪を掴んだが、手に力が入らなかった。それだけ、彼女は上手かった。
「火憐!!」
喉の奥で自身を扱かれ、我慢の限界だった。先に、ほんの少し宇那手の歯が当たった瞬間、冨岡は数ヶ月分の欲望を、食道に注いでしまった。それすらも、宇那手は、器用に飲み干し、口を離した。
冨岡は、息が上がり、しばらく言葉を発せなかった。宇那手は、何を考えているのか分からない、ぼうっとした表情で口周りを拭っている。
「火憐⋯⋯。火憐⋯⋯大丈夫か?」
「⋯⋯平気です」
「何故こんな事をした? ヤツに仕込まれたのか? こんな事をさせられていたのか?」
「殺されない為に、最大限の努力をしました」
「すまない!! 火憐、泣いてくれ。酷い事をされて来たお前は、泣かなければ、また壊れてしまう。お前は欲を満たす為の道具ではない!! 大切に扱うと誓うから⋯⋯」