第100章 ※一夜
「変態!!」
宇那手は、思わず枕を投げ付けていた。
「もう良いです! これまでと同じで良いですから!! もう、深く考えないでください!!」
「触れても良いのか? 間違っていないのか?」
「間違いって──」
「だってお前は」
冨岡は宇那手の右肩に手を置き、いきなり袴の裾に手を突っ込んで、秘部に触れた。
「もう濡れている。解す必要も無い」
しばらく入り口をなぞっていた指が、三本同時に捻じ込まれ、宇那手は悲鳴に似た嬌声を上げた。冨岡は、苛立ちを爆発させた。
「何でこんなに緩いんだ?! この数ヶ月、何度抱かれた?! 何をされた?! 何故これだけで感じている?!」
「やめっ──」
「こんな場所⋯⋯そうそう触れていない筈だ!! 何故此処で感じる?!」
「奥っ! 駄目!! 嫌だ!!」
「質問に答えろ。此処は子供を宿す場所だろう? 何故この入り口で、そんな声が出る?! 此処に⋯⋯出されたのか?!」
「嫌だ!!!」
宇那手は、肩で息をしながら叫んだ。大声を出したせいで、胸を押さえている。
「けほっ⋯⋯い⋯⋯嫌。違う⋯⋯こんなの違う⋯⋯」
「火憐。水は──」
「貴方はこんなに乱暴じゃなかった! こんなの⋯⋯こんなの⋯⋯あの時と同じ!!」
「分からないのか?」
冨岡は、悲しげに宇那手を抱きすくめた。
「俺は違う。あの鬼とは違う。⋯⋯これは嫉妬だ⋯⋯。もっと⋯⋯別の言葉を⋯⋯」
彼は必死に考えた。そして、遠い様で近い、過去のやり取りを思い出した。
「辛かっただろう。良く、堪えた。頑張ったな」
「⋯⋯⋯⋯ありがとう⋯⋯ございます」
宇那手は、冨岡の背に回した腕に、力を込めた。
「ごめんなさい。ごめんなさい! 全部、私が悪かったんです! 貴方が怒るのは当然⋯⋯。それでも⋯⋯私は⋯⋯貴方が好きだから⋯⋯。貴方の嫉妬も受け止めたいのだけれど⋯⋯少しでも、余力を残したくて⋯⋯」