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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第99章 最終任務


「火憐さんを、愛していた」

 麗は、悲しげに微笑み、古びた本を差し出した。

「これを見て、納得しました。貴女の言っていた事が、全て真実であると。あの人は、千年生きていた化け物だ、と」

 それは、遠い昔の記録だった。鬼舞辻が人間だった頃に書いた日記だ。すぐに内容を理解出来た麗も、相当教養のある人間なのだろう。

「ほんの少し目を通しただけですが、ゾッとしました。妻が自殺した事が、他人事の様に⋯⋯記録として書かれています」

 宇那手は、頁をめくった。鬼舞辻無惨の苛立ちや、落胆が痛いほど伝わって来た。同時に、彼がどれだけ他人に無関心で、冷酷な人間だったかも。

「⋯⋯ありました」

 彼女は、終わりに近い頁を開いて、麗と冨岡に見せた。

「自身に薬を投与した医者を殺したと、書かれています。⋯⋯殺すつもりは無かった、とも。刃物を投げた結果、頭骨を粉砕し、殺してしまった、と。恐らく鬼舞辻は、この時初めて、自身の体質が変化している事に気が付いた。驚くべき事に、彼は鬼になって直ぐに、食人衝動にかられていない。対して、鬼舞辻の血を注がれた人間は、すぐさま鬼に変貌し、人を喰らう。人体の中で薬の成分が凝縮、及び増産されたか、若しくは医者が投与した物は、薬ではなく、細菌やウイルスの様な物だったと考えるべきか⋯⋯」

 思考の闇に沈んでしまった宇那手を見て、冨岡は肩を竦めた。こうなると、当面の間、彼女は他の事に興味を示さない。

「産屋敷家が呪いを受けていたのに、この医者の血縁者は何の罰も受けずにいる? あり得ない⋯⋯。既に一族が絶えているか、何らかの形で鬼に関わっているか⋯⋯。調べなくては。本当にこの医者の薬が、殺された医者の頭の中だけに収まっていた物か。殺されても口を割らなかっただけで、誰かが知識を持っていたのでは──」
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