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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第99章 最終任務


「気付いていたのですか?!」

 宇那手は、冷や汗を掻いて震えた。鬼舞辻と自分が、どんな関係にあったか、それは隠し通せていると思った。

「気付かないはずがありません。あの人の顔と⋯⋯貴女の憔悴しきった姿を見て⋯⋯。全て⋯⋯知っていました。町医者の中に隠という者がいて、断片的に鬼殺隊についても伺いました。貴女が何者であって、何のために夫に近付き、何をしているのか。指示された薬が、何に効く物なのか。知った上で、黙っていました。娘を守る為に。貴女の顔色がどれだけ悪くても、引き止めはしませんでした。私も⋯⋯保身の為に、貴女を犠牲にしていたんです。最初は恨んでいました。でも⋯⋯夫が化け物であると自覚する程に、まだ若い、貴女が不憫でならなかった!! こんな物は⋯⋯こんな物は必要ありません!!! 私が飲むので無ければ!!!」

 麗は薬を弾き飛ばした。

「ごめんなさい! 私が弱いせいで、貴女にこんな真似をさせてしまって!! もう良いの!! 私の事は良いから。私には娘がいるから⋯⋯。お日様みたいに温かいあの子がいれば、私は十分幸せ⋯⋯だから⋯⋯」

「⋯⋯では、今後の話をしましょう。貴方達は帰ってよろしい。俸給はアヲイさんから受け取ってください」

 宇那手は、カナヲと負傷した隊士達に最後の指示を出した。

「既にお察しかと思いますが、ご主人の会社は、半分程、鬼狩りの首領である、産屋敷家の手に渡っています。混乱はその内収まるとして、貴女の生活です」

 宇那手は、慎重に言葉を選んだ。麗の矜持をこれ以上傷付けぬ様に。

「貴女は鬼の犠牲者であり、鬼舞辻無惨討伐の貢献者です。貴女が望めば、鬼殺隊から十分な俸給が支払われます」

「主人を殺した報酬を受け取れと──」

「それを望まぬ場合、幾つかの仕事を紹介出来ます。⋯⋯お金が無ければ、生きて行けません。それは、私や彼も同じです。貴女が実家に戻らず、新しい伴侶を探す気が無いのなら、働かなくてはいけない。傷付いていても、苦しくても、生きていたいのなら、働くしかありません。若しくは、我々の援助を受け入れるか。幸い、この屋敷の登記書は、すぐに貴女の名義に書き換える事が出来ました。こちらは、必ず受け取ってください」
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