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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第99章 最終任務


「本当に私だけ? 竈門君のためじゃないの?」

 宇那手は、悪戯っ子の様にクスクス笑いながら返した。

「大活躍だったそうね。私は気絶しちゃって、役に立て無かったけれど」

「そんな事、ありません! 炭治郎が真っ先に貴女を狙ったから、近くにいた隠は助かった! ⋯⋯あ⋯⋯違います! 貴女が怪我をして良かったって意味じゃなくて──」

「分かってるわ。⋯⋯冨岡さん、鏡を取ってくれますか?」

 宇那手の呼び掛けに、空気の様に座っていた冨岡が動いた。彼は手鏡を渡すと、また元通りの場所で読書を再開した。

「カナヲちゃん、見てごらん」

「⋯⋯っ」

 カナヲは鏡の中に、亡きしのぶの陰を見た。

「同じ⋯⋯髪型⋯⋯」

「髪型だけじゃなくてね、貴女の瞳の色は、しのぶさんと同じ色なのよ。多分カナエさんとも。だから、二人とも、貴女のことを放っておけなかったんじゃないかしら?」

「⋯⋯貴女は⋯⋯」

 カナヲは必死に涙を堪えた。宇那手は、しのぶとも、カナエとも違っていた。不思議な人だと思った。時には厳しく、時には優しく、人が欲しいと思う言葉をくれる人間なのだ。

「カナヲちゃん。竈門君がもう少し意識を保てる様になったら、きっと、彼も思い悩むはず。貴女が力になってあげてね。貴女は竈門君と同期で、友達だから。私の言葉よりも、貴女の言葉の方が響くはずだから」

 宇那手の微笑みは、カナエに良く似ていた。

 彼女は鏡を受け取ると、自分でそれを机の上に戻し、立ち上がった。

「さて、私も少し仕事をしないと。今日は体の調子も良いし」

「まだ任務があるんですか?! 私に言ってください! 私⋯⋯治療は上手く出来なくても、薬は作れるんです! 私に出来ることがあれば、言ってください!」

「⋯⋯そうね」

 宇那手は、少し考え、頷いた。

「貴女の力も借りたいわ」

 予想外の言葉に、カナヲは瞬いた。

「な⋯⋯何をすれば⋯⋯」

「一緒に説明をするから、貴女も着いて来てください。重傷を負っていた隊士の見舞いに行きます。冨岡さんも」

 宇那手は、二人を率いて病室を出た。この半月、少しずつ、隊士たちを説得して回っていた。今のところ、全員が協力に応じてくれたのだが。
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