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【鬼滅の刃】継ぐ子の役割

第97章 答え合わせ


「何だと?!」

「何?!」

 冨岡と不死川は同時に身を乗り出した。

「あの人は、私の代わりに動いてくれた。菖蒲を入手してくれたのも、彼女です。⋯⋯鬼舞辻は片時も私から目を離さなかった。だから、麗さんは、そこそこ自由に動く事が出来ました。浅草の医者の中に、隠がいた事も知っています。何か⋯⋯お礼をしなければ⋯⋯。誰か、私のタイプライターを──」

「寝ろや、馬鹿!!」

 宇髄が宇那手の額を指で突く様にして押した。

「お前、状況が分かってんのか?! 半月意識不明の重体だったんだぞ!! んなもん、俺らに任せろ!!」

「でも──」

「でもじゃねえ!」

「麗さんは、鬼舞辻を愛していたんです!! 私が現れなければ⋯⋯多分、一生人間だと信じていた⋯⋯。私のせいで──」

 宇那手は、ゲホゲホとむせ返ってしまった。少量だが、血が滴り落ちた。肺が弱っていたのだ。

(時間が無い⋯⋯。きっとこれは、治らない⋯⋯)

「冨岡⋯⋯さん⋯⋯。愈史郎さんを⋯⋯。いえ⋯⋯駄目⋯⋯。可哀想な事をしてしまう⋯⋯」

 早く日常を取り戻し、体を修復し、家族が欲しかった。しかし、残された時間は後七年だ。どんなに早く子供を授かったとしても、輝利哉と同じくらい寂しい思いをさせてしまう。

「私⋯⋯どうしたら良いの?!」

「横になってくれ」

 冨岡は、露呈した宇那手の脆さに衝撃を受けた。

「俺が守る。傍にいる。何処か苦しいか? 堪えられない程辛いのなら、共に死ぬ。お前のためなら、何だってするから⋯⋯言葉にしてくれ!!」

「貴方と夫婦になりたい」

「もう、その約束はしただろう。何を焦っている? もう鬼はいない。静かに生活を送れる」

「寿命が⋯⋯時間が限られています⋯⋯。やりたい事を、全て思うがままにやる事は許されない! 貴方との間に⋯⋯その⋯⋯子供を授かったとして、その子は幸せになれるでしょうか?! 母親が七年で死ぬのに。貴方も⋯⋯どのくらい生きられるか⋯⋯分からないのに⋯⋯。私⋯⋯折角生き残ったのに⋯⋯未来を思うと、出来る事が少なくて⋯⋯それが辛くて、悲しくて、息をするのも苦しくて⋯⋯。そんな考えを持つ事が、私を庇った人達に申し訳なくて、消えてしまいたくなります!!」
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